所謂、高層難民と化してしまう都市部特有の問題。耐震性や利便性が高まっていく反面、高層化によりエレベータが停電によって運転が停止し、物資の獲得が困難になってしまう。何百段もある非常階段を何度も上り下りするのは本当に重労働だ。
高層ビルのアキレス腱、エレベータ。震災にエレベータシャフトが歪んだり、エレベータ本体への影響が心配される。震度5以下では自動診断が行われ運転再開が見込める機種もあるが、まだ未設置な機種もある。
自動診断も万能でなく、震度5よりも大きな揺れを観測すると、エレベータシャフトやエレベータ本体に影響がある、と判断されて作動しないケースもある。こうなるとエンジニアの手が必要となる。
2005年7月23日、東京都足立区で震度5強を観測した地震の影響で、関東地方で約64,000台のエレベーターが停止した。運営会社が総出で復旧にあたったが、完全復旧には翌日以降だった。住民やビル管理者から復旧依頼の電話が鳴りっぱなしだったのは言うまでもない。
しかし、上記のケースは「運営会社が総出で復旧へ当たれた」から、翌日以降で運転再開の目途がたったのであって、首都連直下地震で震度7を受ければ、エンジニア自体が被災してしまい復旧へあたれる人員は限られてしまう。レスキュー隊も首都圏の生き埋め状態になった人や、消火活動に従事に精一杯の可能性が高い。
こうなると、エレベータに閉じ込められた場合は日単位になるかもしれないし、閉じ込められなくても高層階へ住む人は一瞬で機動力を奪われてしまう。「エレベータ復旧まで1ヶ月」なんて事になれば、非常階段の上り下りだけで体力をかなり消耗する。
身体能力が落ちた高齢者だと、ポリタンク(20kg)で給水車から貰ったとして平地は台車で押していけるが、非常階段で8階まで・・・ともなれば、避難生活はかなり過酷な物となる。もし低層階で空き余裕があれば一時的に仮住まいできるかもしれないが。。。
この他、各階のゴミの貯まり方、配管に異常があればトイレ問題へ繋がる。揺れについても、高層階ほど「酔うような揺れ方」をして、一戸建ての家屋よりも大きな家具が揺れ移動する可能性も高い。しっかり固定しておこう。
高層ビルの火災対処は、高さ31m(8〜10階建て)以上の物件についてハシゴ車のハシゴが届かないレベルになってくるので、外部からは特殊消防ヘリコプターがなどが対応する必要がある(一応、50mクラスのハシゴ車もあるにはあるらしい)。
屋内では火災が起きてもすぐに消火にあたれるよう、屋内消火栓設備があり、これは自前の防火水槽からポンプアップして放水が可能になる。但し、防火水槽(または高架水槽)、各配管・配線、制御システム、非常電源などに異常が無い場合に限る。
地上からの援護として連結送水管から消火用の水を送ることが出来るが、「消火栓が全く使えず大火に」でも記したように震災では水が極端に不足する事や、同時多発火災を前に東京の高層ビル800棟に対してどのように対応できるかは未知数だ。