被災地ではゴミ処理がままならず、トイレ問題、環境悪化で食中毒や感染症の発生が危惧されている。すぐに病院へ行ける体制が整っていない時期では、二次災害が命を落としかねない。
身近な物では『酢』
寿司、マヨネーズに用いられる家庭用の酢に雑菌の繁殖を抑え、多くの細菌(サルモネラ菌、ぶどう球菌、腸炎ビブリオ、腸管出血性大腸菌、その他の大腸菌、セレウス菌)に対して有効な殺菌能力を持つ。
ペットボトル1本分の水(2,000cc)に、食酢("醸造酢"である事)を10〜40倍分(50〜200cc)。食塩を加える事もあり、酢酸濃度が高いほど効果も高い。清潔な布巾に食酢原液を含ませて食器を拭いたり、微細な霧になるスプレーなどを使って雑菌の繁殖抑制に。
下記の消毒方法は、使用経験などが無い方にはお勧めできない。使用方法や取扱いには充分注意し、感染症予防方法についても避難所などでは、原則的に自治体の指示に従う。
消毒用の『エタノール』
注射前や医療用にも用いられる消毒用エタノール。多くの細菌に対して速効性を持つ。入手も容易だが、可燃性な事に注意なのと、殺菌剤としては毒性は低いが濃度が高いこともあり、取扱いには充分注意したい。
鳥インフルエンザでよく見られた『消石灰』
鳥インフルエンザウイルス拡大防止によく用いられる。ウイルスに対して強力に不活化(ウイルスそのものを強アルカリ性で破壊という感じ)する事が出来、しかも非常に安価。農業でも土壌消毒に用いられるが、作物や周辺環境にダメージが少ないことからも大量に使われる。しかし、消石灰の強アルカリ殺菌は、細菌へは効果が薄い。
財団法人大日本蚕糸会蚕業技術研究所では、消石灰の上澄み液による消毒方法を紹介している。簡単にまとめると、大きなポリバケツに消石灰500gに対して100リットルの水に希釈して、数時間放置するとpH12.3の上澄み液が出来上がる。これを3.3平方メートル(畳2枚ぐらい)に対して、3〜5リットルほど噴霧器で散布する。
消石灰は粉の状態で散布すると強風で周辺に飛び散り、目や粘膜を刺激、目へ粉が入ると視力が低下する恐れがあるので注意したい。このため表層への散布は避け、土壌に混ぜ込んだり、殺菌と対象となった物を埋設する為に掘った穴の側面・底面へ、また水溶きにして液状で用いられる。
業務用の『次亜塩素酸ナトリウム』
家庭用塩素系漂白剤・殺菌剤、食品添加物、医療用など様々な消毒に使われる。スーパーや給食調理場などで塩素系のニオイがするのは大抵コレ。次亜塩素酸ナトリウム自体には洗剤(界面活性剤)のような洗浄効果は示さないが、濃度によって漂白・染み抜きにも使われる。
原液濃度10%程度でも、10万倍に希釈してプールや除菌効果を示すので、とてもコストパフォーマンスが高い。その反面、他の消毒方法と比較して使用方法(塩素発生防止、特定金属・繊維との接触注意、皮膚・粘膜への刺激…)や保存方法(冷暗所、専用の遮光性容器…)といった取扱に充分注意が必要である。