考えて見れば「当然だ」と思うかも知れませんが、阪神大震災では消防隊が駆けつけても放水に使う水が無く、焼け野原になりました。

阪神・淡路大震災で最も火災が多く発生したのは長田区、焼失面積503,350平方メートル。約709m四方の範囲が焼失したことになり、家屋全壊は15,994戸。被災現場には全国から1,180名の消防職員、支援車輌244台が陸路で応援に駆けつけました。

しかし、神戸市の上水道74%を給水していた阪神水道事業団のポンプ場(甲東・西宮)は停電したため、460~1,500キロワットの電力が必要な12基の送水ポンプは使用不可能。住宅の耐震性は被災する毎に強化されつつありますが、水道管は震度5くらいを想定して作られています。結果、総延長4,000kmの水道管は57,527箇所で断裂、漏水が発生。ポンプ場に支障をきたしても送水可能なように配水池には(2,000~10,000トンほど貯水。0.5~1日分くらいの水需要を想定されている事が多い)がありますが、119箇所の配水池で殆ど底を付くという事態に当時見舞われていました。

消火栓は水道管敷設時に一緒に設置され、本管・幹線といった太く水圧のある水道管に直結。長田区には消火栓が1,312基あったものの、板宿低層配水池(7,000トン)の水が無かったため、消火作業には取りかかれませんでした(配管が断裂しているのも含めて)。

防火水槽は半径100~150mに1基ほどあるとされていますが、長田区は93基のうち26基が破損、10基が家屋の倒壊により使用不可となっていました。防火水槽の水量は大小様々20~100トンほどで、通常家屋の消火活動には数十トンほど使われるそうです。近年では震災での破損を防ぐため、防火水槽自体の強化も進められているようです。

溜め池や海水へホースを延長しても、避難の為に走り去る大型車輌などに横切られてホース自体が破損するなど消防隊員が全国から到着しても「水がない火災現場」では為す術がなく、破れたホースは200本にもなり、最終的にはポンプ車で中継に中継を重ね、1,624本のホース(総延長32.5km) で水を汲み上げたとのことです。また、消防ヘリコプター(海水などを汲んで、上空から投下)の使用については自治体の了解が必要となっていましたが、市からは「鎮火しつつあるので…」として空中消火作戦は見送られたとのこと。

消防隊員が火事の対応が可能なのは、

・消火栓が運用できる
・水道管の破裂が軽微、水道局が機能している
・防火水槽の破損が少ない
・水源として使える川、ため池などがある
・道路陥没、大渋滞などに見舞われていない
・消防局や消防隊員、車輌自体が無事

のような場合であり、震源地に近くて被害の大きな地域では大火に見舞われるリスクが高くなります。火が天井に回るまでであれば消火器でも対応が可能ですので、狭い通路が入り組んだ住宅密集地などは防火に対する意識もより強く持つ必要が出るでしょう。